眼に影響を及ぼす内科的疾患はいくつかありますが、
 
 

 今日は 「高血圧」 についてお話します。

  

 「血圧」 とは、「血液が動脈を押し広げようとする圧力のこと」 です。 

  

 心臓が収縮するとき(心臓がポンプとなり全身に血液を送り出すとき)に最も高くなり、

  

 逆に心臓が拡張するとき(血液が心臓に戻ってきたとき)に最も低くなります。

  

 「血圧」 は、心臓が送り出す血液の量と血管内の血液の流れやすさで決まります。

  
 
 成人の血圧値の分類は次の通りです。

  

               収縮期血圧                 拡張期血圧

       

  至適血圧      120mmHg未満       かつ      80mmHg未満

  

  正常血圧      130mmHg未満       かつ      85mmHg未満

  

  正常高値血圧   130~139mmHg             または     85~89mmHg

      

  Ⅰ度高血圧    140~159mmHg          または            90~99mmHg

     

  Ⅱ度高血圧    160~179mmHg        または     100~109mmHg

 

       Ⅲ度高血圧    180mmHg以上       または     110mmHg以上

  

  収縮期高血圧   140mmHg以上       かつ       90mmHg未満

    

      
 

  「高血圧」とは、血管が硬くなったり、細くなったりして、血液の流れが悪くなり、

  

  血管に強い圧力がかかりすぎている病気のことです。

  

  「高血圧」になると心臓の負担は大きくなり、心臓はこれに対応しようと大きくなります。

  

  心臓が大きくなると、拡張しづらくなり、心臓の機能が低下し、

  
 
  「心不全」へ進行することもあります。

   

  また、「血管」は高い圧力に負けないように厚く硬くなり、「動脈硬化」が進みます。

   

  「動脈硬化」が進行すると、血管の弾力性が失われてもろくなり、破れたり詰まったりして、

  

  「脳梗塞」 や 「脳出血」、「心筋梗塞」、「腎不全」などの合併症が起こりやすくなります。

    

  
  

  眼においては、「高血圧性網膜症」が起こりやすくなります。

      

  「高血圧性網膜症」 になると、眼の奥の網膜内に張り巡らされている細い血管が、

  
 
  詰まったり破れたりして、出血や浮腫(むくみ)を起こします。

  
 
  黄斑という視力の最も鋭敏なところで起こると、視力が低下することもあります。

     

  
     

  高血圧の治療は、まず生活習慣を改善することから始めます。

      

  ・塩分制限 (1日 6g以下)

    

  ・適正体重の維持 (BMI 25未満)

    

  ・運動 (1日 30分ぐらいの早歩きなどの有酸素運動)

   

  ・節酒 (ビールなら 1本、日本酒なら お銚子で1本以下)

     

  ・禁煙

   

  生活習慣の改善を続けても血圧が下がらない場合は、降圧剤による治療を行います。

       

  時々 「血圧が下がったから降圧剤を自分の判断で中止した」という方がおられますが、

       
 
  「血圧が下がっていた」のは、「降圧剤が効いていた」からです。

       

  ですから、医師の指示を受けずに自己判断で薬を中止するのはとても危険です。

      
 
  医師の指示で正しく服用し、血圧を適正に保つことが大切です。 

    
                                               Aku