医療技術が進歩する中、日本人の平均寿命は過去最高記録を更新し続けています。
加齢による身体機能の低下や、障がいは否応なしにもたらされ、視能矯正の領域では加齢性斜視であるSESが注目されています。
SESは加齢に伴い徐々に進行するため、初期には複視(両方の眼で物を見ると二重に見える事を言います。この場合、片方の眼を隠すと物は1つに見えます)が間欠性であり、初発時の記憶が不明瞭である場合が多いです。また白内障術後に各眼の視力が良好になったため、複視に気付く場合があります。

《SES》
加齢に伴う筋間結合織である外直筋―上直筋(以下LR-SR)バンドの菲薄化によって、外直筋プーリーが下垂して生じる微小な内斜視または上下回旋斜視、あるいは両者の合併をいいます。

眼窩プーリーとは
眼窩壁から懸垂する格好でリング状に眼球赤道部を取り囲むTenon嚢内に存在する結合組織で、眼球赤道部で最も発達しており、コラーゲン、エラスチン(コラーゲン同士を結び付けるタンパク質)、平滑筋から構成されます。その役割は、外眼筋の機能的起始部として働き、さらに外眼筋の走行を制御します。

眼窩プーリーは加齢によって変化し、進行すると眼球運動障害や眼位異常が生じます。特に外直筋プーリーは加齢による影響を受けやすく、菲薄化し、重力の影響で下方に偏位します。外直筋プーリーの偏位が影響して、外直筋プーリーと上直筋プーリーを連結するプーリーであるLR-SRバンドは引き延ばされ、断裂を起こします。

SESは眼窩プーリー以外にも眼の周囲の軟部組織の変化をきたしているため、下記の外眼部異常を伴います。
・baggy lid(だぼついた眼瞼)
・superior sulcus deformity(上眼瞼のくぼみ変形)
・腱筋膜性眼瞼下垂

複視を主訴とする症例のうちSESは、50歳未満では4.7%、90歳以上で60.9%と増加します。
即ち、高齢者の斜視では、SES及びその合併例である場合が多いです。

※引用、参考 文献、画像
日本視能訓練士協会誌第49巻P13-20、2020より岡真由美他;Sagging eye syndromeと眼球運動麻痺との相違点を中心に
医学書院 視能学エキスパート 視能訓練学

 

 

休日を利用し、各地の景色を楽しんで来ました。

旧国鉄篠ノ井線配線敷漆久保トンネル(明科)
ジブリの世界みたい。

北アルプス展望美術館(池田町立美術館)
ここから見る北アルプスは最高!

国営アルプスあづみの公園
チューリップって色々な種類があるんだと感動。