子供の近視が世界的に増えています。近視は早く発症すればするほど進行の度合いが大きく、近視に起因する網膜の病気のリスクも高まります。その為、軽度であっても進行を予防すべきだと考えられ、治療法の開発が進められています。

世界人口に占める近視の人の割合は、2010年の約3割から2050年には約半分になると国際共同チームが2016年に発表しました。子供の近視の抑制に効果があるとされる屋外での活動が減っていることや、スマートフォンやゲーム機の普及といった環境要因が近視の増加の原因であると指摘されました。
近視は早い人で幼児期から始まり、発症年齢が若いほど年間当たりの「進行量」が大きく、強度の近視になる可能性が高まります。

進行予防の基本は視力矯正と生活習慣指導です。東京医科歯科大に今年開設された「先端近視センター」では、眼鏡に付ける小型装置「クラウクリップ」を使い、生活習慣を把握して診察に生かす取り組みを進めています。
他に「オルソケラトロジー」という特殊な形状をした高酸素透過性の専用ハードコンタクトレンズを、夜寝る前につけ朝起きたらはずすという治療法があります。就寝中にレンズが角膜の形を平たく変化させ、裸眼視力を矯正します。翌朝、レンズをはずした後も角膜の形状が矯正された状態を一定時間維持出来る為、その間裸眼視力が改善します。

当院では7年ほど前から、近視の進行予防に効果のある0.01%アトロピン点眼液による治療法を行っています。また、昨年からより近視の進行予防の高い0.03%と0.05%アトロピン点眼液の処方を追加し、0.01%アトロピン点眼液の効果が弱い場合に使用しています。

お子さんの近視が気になる方はご相談下さい。