6月に入り梅雨が近付き、ドライアイ患者様にとって少し症状が緩和されるかと思いますが、マイボーム腺機能不全からのドライアイで年中悩まされている方に、ご自宅でできるホームケアをご紹介します。
涙の構造は三層からなっていて、外側から油層、液層、ムチン層になっています。まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌される油層が涙が蒸発するのを防いでくれます。この大切な油が加齢や炎症によって質や量が悪化してマイボーム腺が詰まったりすると、マイボーム腺機能不全による油不足ドライアイになります。
1つ目の対策は「温罨法(おんあんぽう)」です。
温めることでマイボーム腺から分泌される油を溶かし、涙の油分を増やすことができます。
電子レンジで濡らしたタオルを加熱し、ポリ袋に入れ、乾いたタオルで包んでまぶたにのせます。濡れたタオルを直接あてると、乾く時にまぶたの温度が下がり、油がまた固まってしまうので注意してください。温度の安定している市販の物を使う方が良いです。1日2回が効果的です。
2つ目の対策は「まぶたの清拭」です。
花粉やほこりなどで汚れたマイボーム腺の詰まりを除去することにより、油が出やすくなります。また、まつ毛の根元をぬるま湯やアイシャンプーで優しく洗うことも有効です。こちらも1日2回朝晩がおすすめです。
3つ目は油の質を改善するための「オメガ3脂肪酸の摂取」で、抗炎症作用もあります。
オメガ3脂肪酸には、α-リノレン酸(AHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の3種類があります。
ALAはエゴマ油やアマニ油に多く含まれています。EPAとDHAはサバ缶や海藻などに多く含まれています。
1日の摂取量は2g小さじ1杯です。サプリメントもあります。
治療薬として、先日当院の勉強会で学習した1%アジマイシン点眼液があります。マイボーム腺機能不全を伴う眼瞼炎に対して、マクロライド系の抗菌薬が抗炎症効果をもたらします。ホームケアや点眼との併用などでマイボーム腺機能不全が良くなると、ドライアイが改善されることもあります。
簡単なホームケア、特に温罨法は効果も良いので是非お試しください。薬や処置につきましては当院へご相談ください。