近年、若年層においてゲーム機やタブレットなどデジタルデバイスを長時間見続けていることで、片方の眼が内側による「急性内斜視(いわゆるスマホ内斜視)」の発症例が報告されています。今回はその斜視の特徴と治療法並びに予防法についてお話していきます。
内斜視とは片方の眼が内側に寄っている状態です。内斜視になる原因はいくつかありますが、ゲーム機やタブレットなどを長時間見ることでおこるものを「急性内斜視(スマホ内斜視)」と言います。

 

原因は、長時間近くのデジタルデバイスを見続けることにより、内直筋(眼の周囲に付いていている筋肉)の緊張が発症を誘発すると考えられています。(諸説あり)
症状は、複視(物が二重に見える)を自覚します。左右眼の視線の向きが異なることで起こり、片目にすると一つに見えるのが特徴です。(両眼複視)
内斜視を放置すると、物が常に二重に見えるので物の遠近感がつかめず、また物を立体的に見ることが困難になります。
デジタルデバイスを見る時間を短時間にすることで改善する場合もありますが、日常生活を変えただけで治癒しない場合は
① プリズム眼鏡装用
特殊なメガネを装用して複視を改善させる方法
② ボツリヌス毒素療法
眼の筋肉を麻痺させる薬を注射する方法
③ 斜視手術
眼の筋肉を手術で動かす方法
といった治療を行います。

急性内斜視の発症を防ぐには日常生活の改善が必要になります。以下の事に注意してください。
① 30分デジタルデバイスを利用したら5分間休憩してください。
② デジタルデバイスと眼の距離を30㎝以上離してください。
③ デジタルデバイスの利用時間を1日当たり、小学生以下1時間以内、中学生以上は2時間以内にしてください。
また小児の場合、遠視の未矯正や合っていないメガネをかけていることで内斜視になることがあります。
眼科で検査を行い遠視の矯正などしっかりと合っているメガネをかけることが重要です。

当院では予約にて斜視の検査を行っています。
気になる症状がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

引用・参考文献
斜視弱視の病気の説明 日本弱視斜視学会 http://www.jasa-web.jp
佐藤美保 日本眼科記者懇談会「デジタル時代の子どもの眼」2022.1