近視とは眼球の形が前後方向に長くなることが原因で、眼の中に入った光線が網膜より前方で結像する屈折状態の事を言います。   

近視になると近くの物はハッキリ見えますが、遠くの物がぼやけて見えます。

子どもの視力に関する文部科学省の調査において、昨年度、裸眼視力が1.0未満の子どもの割合は、小学生で36.84%、中学生で60.61%、高校生で71.06%といずれも過去最多となっています。

近視が強くなると、緑内障・網膜剥離・黄斑変性など重篤な眼疾患が増加します

 

近視の原因

近視の発症には遺伝的要因と環境要因の両方が関与しており、環境因子をして長時間近いところで物を見る作業が関与すると考えられています。

 

近視進行抑制の治療

現在子どもの近視進行抑制について主に行われている方法として、

  • リジュセア®ミニ点眼液(低濃度アトロピン点眼液)
  • 近視管理用眼鏡
  • 多焦点ソフトコンタクトレンズ
  • オルソケラトロジー
  • レッドライト治療法

が挙げられます。

②では新たな方法として、日本近視学会が2025年にガイドラインを作成し、日本でも安心して
「近視管理用眼鏡」が使えるようになりました。現在のガイドライン(第一版)では「MiYOSMART®」(HOYA社)/「Essilor®Stellest®」(Nikon-Essilor社)が推奨されています。

 

レンズの設計と抑制効果

「MiYOSMART®」(HOYA社)

レンズの中心部分に明視領域、周辺部に加入度数+3.50Dの微小レンズがハニカム状に配置されています。(DIMSレンズ
・2年間の平均抑制率は等価球面度数で52%
・眼軸長伸長62%抑制

 

「Essilor®Stellest®」(Nikon-Essilor社)

非球面の微小レンズ(加入度数+3.1~5.6D)が6本の同心円状に配置されています。(HALレンズ)
・2年間の平均抑制率は等価球面度数で55%
・眼軸長伸長51%抑制

 

*近視抑制効果はMiYOSMART®・Essilor®Stellest®ともに同等の結果ですが、比較試験の対象地域が異なるため、単純に治療効果を比較するのは難しいとの事です。

*現在日本での販売は未定です。

 

 

引用文献

近視とは?/近視の進行抑制治療 日本近視学会   日本近視学会 Japan Myopia Society

令和6年度学校保健統計調査 文部科学省

長谷部聡.眼鏡およびコンタクトレンズ.小児の近視第2版.三輪書店,2023,P181

MiYOSMART HOYA   MiYOSMART I Myopia management lens solutions – HOYA

Stellest®   Stellest_Practitioner-IFU.pdf