角膜内皮細胞とは、5層からなる角膜(黒目部分)を構成する一番内側の細胞です。角膜内皮細胞には、房水が角膜に侵入しない様にするバリア機能と、角膜の水分を外へ排出するポンプ機能があります。
六角形の細胞から構成されていて、生まれてから増える事もなく、減ると再生しない細胞です。

角膜内皮細胞の正常値は2500~3000/㎟とされており、2000/㎟以下が異常値です。また500/㎟以下になると、水分が角膜内に貯留して角膜の透明性が維持できず、水疱性角膜症となり角膜移植が必要になる事もあります。

《角膜内皮障害の治療》
特に症状がなければ治療の必要はありません。軽度のむくみであれば、5%食塩水の点眼治療等で良くなることがあります。重度のむくみが出ると、かすみがかかって視力低下を感じます。もっと進行すると、角膜上皮細胞が剥げやすくなり、強い痛みを感じます。残念ながら今のところ減少した角膜内皮細胞を再生させる治療はなく、角膜移植が必要となります。

《予防》
角膜内皮細胞の減少を防ぐためには、コンタクトレンズ使用者は酸素透過性の高いコンタクトレンズを使用し、長時間装用をしない様気を付けて下さい。
白内障手術後の検査やコンタクトレンズの定期検査は、角膜保護のためにもとても大切なので必ず受診して下さい。