新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
今年は亥年で、日本では猪(イノシシ)年となっていますが、中国や台湾などでは同じ猪と書いて、ブタ年を意味するそうです。日本で干支の動物がブタからイノシシに取って代わった理由は次のようなものだそうです。
十二支は殷の時代には使われるようになっていましたが、十二支に12の動物を当てはめるようになったのは紀元前の秦の時代からで、更に十二支が日本に伝わってきたのは4世紀から5世紀頃とされています。
弥生時代には、日本でも北九州を中心にブタが飼われていたこともありましたが、山の多い日本では野生のイノシシがよく獲れたことからその習慣はすたれました。その上、仏教が伝来したことで肉食が嫌われて、干支が伝わった頃には日本からブタが消えてしまっていたためだそうです。

ここ数年、新年のご挨拶の中で干支の動物の眼に関する話題をご紹介してきましたが、今年はそこでイノシシの代わりに諸外国の干支の動物であるブタの眼についてのお話をしたいと思います。
眼科医は眼科に入局するとまず眼科手術の助手につくのと共に、豚眼を用いて白内障手術の練習を行います。これはブタの眼が、角膜がやや厚い、水晶体のカプセルが強靭、眼球の大きさがヒトでは23~24mm、ブタでは25mmなどという違いがありますが、人間の眼と構造や大きさが類似しているためです。
ただし、白内障になると水晶体の核は硬くなるのですが、白内障のないブタの水晶体は柔らかいので、超音波で水晶体の核を削る練習をするため、薬剤で水晶体を硬化させた豚眼を用いて、白内障手術の練習をしている施設もあるそうです。
中学や高校では生物の時間の解剖実習で、眼の内部構造や機能を学ぶために豚眼が用いられています。以前は解剖実習にウシの眼球が用いられることも多かったのですが、牛海綿状脳症(BSE)のヒトへの感染の恐れから、現在ではウシの眼球を使用することは不可能になっていて、もっぱらブタの眼球が用いられています。
この他、ブタは心臓の大きさが人間に近いため、心臓弁膜症の弁移植に用いられるなど、医療にも貢献しています。

今年は平成の元号が5月には新たな元号に変わることもあり、大きな変革がある年になるのではないかと思います。
今年一年、新たな気持ちで地域医療に取り組んでいこうと思っております。

中村眼科   
院長 中村公俊