新年あけましておめでとうございます。謹んで新年のお慶び申し上げます。
世界が新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われて、今年で3年目になります。昨年の8月には2万5000人を超えていた1日の全国新規感染者数が11月には50人にまで減り、これで新型コロナも収束していくのではないかと淡い期待を持ったのも束の間、これまで流行っていたデルタ株よりも感染力が強力なオミクロン株の市中感染が認められるようになり、新年に入って新型コロナの新規感染者数は急速な増加傾向にあります。
当院でも更に気を引き締め、今年一年院内における新型コロナへの感染症対策を行っていきたいと思っています。

 

本年も例年通り、新年のご挨拶として干支であるトラにまつわる眼の話について述べてみたいと思います。
眼科医がトラという言葉を聞いてまず思い浮かぶ医学用語は、tigroid fundusではないかと思います。Tigroidというのはtigerの派生語で、tigroid fundusは虎紋状の眼底という意味になります。これは、強度近視の際に眼球が拡大して網膜が薄くなり、その下にある脈絡膜の血管が透見されるようになった状態を指しますが、日本の医学用語では何故かこれを虎紋状ではなく豹紋状眼底と言います。下に示す写真のように、透見される脈絡膜の血管はヒョウの斑点ではなくトラの縞模様のように見えますので、英語の表記の方が実際の形状に即しているのではないかと思います。

夜になると暗闇の中でトラの眼が白く光っているのを、テレビの映像などで見たことのある人も多いと思います。これは以前にもこのブログで触れましたが、夜行性であるトラなどのネコ科の動物は、網膜の下の脈絡膜の表層にタペタム(輝板)と呼ばれる反射板としての役割を持つ組織があります。網膜で吸収しきれなかった光をタペタムが反射して再び網膜に返し、二重に網膜を光が通過することで夜間の暗い状態でも物を認識することができるようになっているのですが、タペタムからの光の反射によってトラの眼が夜光って見えるのです。通常の動物では、網膜の視細胞と脈絡膜の間に黒いメラニン色素を含有する網膜色素上皮層がありカメラの暗箱の働きをして光の散乱を防いでいますが、トラのようなタペタムを持つ動物は網膜色素上皮細胞にメラニン色素がなく、光を通過させるようになっています。
トラなどのネコ科の動物以外に、タペタムはイヌ科を含むネコ目(食肉目)に特徴的な目の構造です。イヌがネコ目に属することを不思議に思われる方も多いと思いますが、これはネコとイヌの共通の祖先がミアキスという動物だったからです。ミアキスは森に住み、一匹で狩りをする生き物でしたが、そのまま森に残ったのがトラのようなネコ科の祖先です。一方、森から草原に出て群れをなして獲物を追いかけるようになったのが、オオカミのようなイヌ科の祖先となったのです。

 

冒頭でも述べました通り、感染力の強いオミクロン株が国内に広がってきていることは危惧するところですが、オミクロン株はデルタ株よりも入院率や重症化率が低いとされています。かつてのスペイン風邪などのようなパンデミックを引き起こした感染症では、重症度が低く感染力の高い株が重症度の高い株を駆逐してその蔓延が収束したそうです。
全世界で5億人が感染したとされるスペイン風邪の流行は3年間続きましたが、新型コロナウイルスによるパンデミックもこの前例に倣って今年中に終焉を迎えることを願って已みません。

中村眼科  院長 中村公俊